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2013第十一次瀬戸内カヤック横断隊レポート 馬場 茂

第11次瀬戸内カヤック横断隊 レポート
馬場 茂
私は、このレポートを地球最北の村「シオラパルク」にて、眼下に広がる海氷の風景を見ながら書いています。まずは、レポート提出が遅くなった事をお詫びします。
ここは、グリーンランドの一番北にあるイヌイットが暮らすとても小さな村です。緯度は北緯77度47分。人口は11世帯35人ほど。犬は多分80~100頭ぐらい。冬から春にかけて、彼らは主に犬橇を使って猟をしながら暮らしています。獲物はセイウチ・アザラシ・トナカイ・ジャコウ牛・シロクマ・オヒョウ・北極ウサギ・北極キツネ等です。言葉はイヌイット語のみ。浜辺にはイヌイットが獣皮で作ったカヤックが数艇やぐらの上に固定されていて、イッカクなどのクジラ猟の時に使う。実際に見るとかなりカッコイイ。

シーカヤックは、以前に伊勢湾で1日ツアーを体験してから好きになり、一昨年のモンベル冒険塾による笠岡諸島での内田さん実地講義を経験してから自分の中に火がついた。
高校1年生の頃から自転車にテント・寝袋・シングルバーナー積んで走り回っていたので旅はとても大好きだった。関西を中心に海岸線や峠の主だった道はほとんど走り、部屋に貼っていた地図も走るたびに書き込む赤線で埋め尽くされていた事を思い出す。
自転車は、主に文明社会が築いた道路の上を走る事が多いが、シーカヤックは海の上を漕ぐ為に自然との距離が近く、とても新鮮な雰囲気を感じる事が出来る。時には怖いと感じる事もあるが自分の直感と力で何とか切り抜けて進んでいくと、その先にはとても素晴らしい風景や人との出会いが待っていたりする。
私は旅人であり、特に自分の力で移動していく中で色々な出会いを追い求めてきたような気がします。それは、自然が作り出す美しい風景であったり、そこで暮らす生き物であったり、またそこで出会う人であったりします。シーカヤックも自転車もそういった視点では同じですが、シーカヤックはより自然の空気を読み取って進んでいくので冒険的だと思う。

今回、瀬戸内カヤック横断隊に参加して正直とても勉強になりました。参加するまでは漕ぎ続ける事しか実は頭になかった私ですが、1年生という事もあってリーダーの傍で漕ぐ事になり、これが自分にとっていい機会になった。刻々と変化する海や空の様子を常に感じ取りながらナビゲーションしているリーダーを傍で見る事が出来て、これは面白いと思った。そして横断隊では、ただリーダーについていくだけでは駄目で常に自分で考えて行動しなければいけない事も教えられた。自転車ではそこまで考えなくても(多少は考えるが)目を開けてペダル踏んでいれば大抵は目的地に到着する。伊勢湾で体験した時は、シーカヤックは楽しいなぁ~面白いなぁ~と思っただけであったが、今はこのシーカヤックが自分を素晴らしい経験の出来る世界へ導いてくれる道具だと気づいた。
実際にシーカヤックは漕いでいてボーっとしている暇がなかった。油断していると潮に流されてアッという間に隊列から離れてしまう。自分では隊列から離れないように注意していたつもりでも気づくと隊列から離れていた事もあった。だから常に前後左右の舟を見ていないといけない。焚火の時にも5秒に1回は振り返れと聞いた。全くその通りだった。
また、実際に漕いでいて海の違いがよく分からなかった。眼前の海面で、右は流れているように見えて、左は流れが止まっているように見える。わずか10メートルぐらいの範囲でも何かが違う。しかし、何が違うのか私にはよく分からない。結局、自分で漕ぎ入って確かめるしかなかった。自分の思った通りの時もあれば、全く違って焦った時もあった。その時はなんじゃこら~と思ったが、サブリーダーに教えてもらい少しずつ違いが分かってきた。海を読むのも仕事で空気を読むのも似ていて、空気の読めない人は失敗も多いが、空気を読める人は実にスムーズに仕事をこなす。更に空気を読んだ上で逆に強引に押し切って乗り越える人もいる。多少のリスクと勝負する姿はいつも人間味があって面白い。自然の中での経験はきっと社会でも活かせると思う。むしろ自然での経験が人間性を磨き人格や精神を育てるのではないだろうか、そんな事をふと思った。
波も結構面倒で隊列を維持しながら漕ぐ事がはじめはうまく出来なかった。波に乗り損ねるだけでスーッと遅れてしまい後ろとの間隔が詰まってしまったり、横へ押されたりして一人でジタバタしていたが、その内に少しずつ慣れてきたら楽しくなってきた。
旅をする上でルート計画は楽しみの一つ。地図を見ながら夢を膨らませ色々な計画を立てていく作業は実に楽しい。自分はまだ海図を読めないので色々と判断が出来なかった、というよりは正直よく分からなかった。実際には海図だけでなく周辺の海岸線や山の地形も含め、潮汐・潮流・転流・気圧・風・雲などの条件を考慮してルート計画を立てていく様子を見ていて初めは全く意味が分からなかったが、少しずつだが何となく分かってくると面白くなってきた。ルートが決まっても、実際に漕ぎ出してから隊のペースによっては影響するファクターが出るたびにルート変更しながら隊を安全にナビゲーションしていくリーダーの姿を傍で見ていて、とてもいい仕事をしていると感じた。1年生の立場とリーダーの立場ではきっと見える世界も違うのだろう。自分は知らない事が多過ぎた。これからもシーカヤックを続けていく事で見える世界をもっと広げていきたい。
焚火での時間はとても楽しい時間だった。時には真剣に話をしている事もあったが、色々な人と話が出来てお互いを知るいい機会にもなった。ただ煙には正直参った。まぁこれも経験でいい感じに燻されて、帰ってからもその香りはしばらく消えなかった。今回は、食事を冒険塾メンバー(岩城・服部・自分)で当番制にしたのでメニューには個性が出ていてどれも美味しかったが、もっと焚火を活用しても良かったと思う。
服装に関して、寒さの心配はしていなかったが、あまり濡れたくなかったので家にあった親父の安っぽいウェダーを拝借して使ってみた。ところが3時間もしないうちにウェダーの中には何故か液体が溜まってきた。初めは汗かと思ったが、その液体は足首が浸かるほどにまで溜まり汗にしてはちょっと多過ぎで、やはり海水が入ってきたようで結局びしょ濡れ。どうやら海水がウェダーのビニール生地を浸み抜けてきて溜まったようだった。このウェダーの防水性能は2時間までだった。確かに親父が川で使う時は2時間以上川に入っていた事は1度もなかった。自分も風呂でテストしたが30分ぐらいしか湯船に浸からなかった。だから誰も気づかなかっただけであった。次はもう少しマシな服装を考えてみる。
横断隊はプロとアマがそれぞれ目的を持って集まったにも関わらず最後には一つにまとまった。きっと一人一人が自分の力をしっかり出し切ったからではないだろうか。それとみんなに共通するテーマがきっとあったのではないだろうか。そしてこの横断隊は肉体より考える力や人間味を鍛える野外合宿のように感じた。ここでの経験は、これからの自分に役立つ時がきっと来ると思う。そして自分もその為に努力を続けていく。

私は今回の横断隊参加にあたり、9月から毎週末は白石島へ行って練習していた。でも実際に何を練習したらいいか分からずとりあえず自分なりに考えて漕いでみた。白石島を1日4~5周したり、周辺の島へ行ってみたり、GPS使って平均速度8~9kmで1日漕ぎ続けたり、ラダー破損を想定してラダー無しで1日漕いだり、次の島や岬や向かって来る船舶など目標を決めて自分のイメージと時間や距離感が合うか試したり、とにかく自分なりに考えて練習を繰り返した。漕ぎ方は本屋でカヤック雑誌を立ち読みして覚えたので、我流もいいとこ。それでも少しでも自信が持てるように練習した。結局大して自信は持てなかったが、やらんよりマシだったと思う。

最後、渋川海岸に到着した時は本当に感動した。自分はただ一生懸命漕いで来ただけであったが、それでも感動した。きっと1週間の旅で心に何か感じる物があったからだと思う。私にとって隊員のみんなに出会えた事と一緒に漕げた事が一番うれしかった。

最後に、各隊員の皆さんとサポートして下さった方々には、大変感謝しております。また途中の島々では、多くの方々から差し入れや応援して頂いた事に、心よりお礼申し上げます。それと素晴らしい経験をさせてくれた瀬戸内の海と行かせてくれた家族にも感謝です。次は、もっと海や旅の話が出来るようになって皆さんとお会いしたいです。

ありがとうございました。
以上
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Author:瀬戸内カヤック横断隊
2003年第一次瀬戸内カヤック横断隊からの記録を掲載しています。

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